United States of America vol.13
アメ車
免許を取ると乗りたいものだ。
ずっと我慢していた、車。
頭の中は車の事しかなかった。
親父からの貰った車代は50万円。
てか、中古しか無理。
僕のほしい車はあこがれの4WD車。
大きなトラックみたいなやつ。
でも人気があって高い。
毎日のように中古車雑誌を眺めていた。
候補は
SAMURAI
JEEP
BRONCO
これらを50万以内で買うってのは至難の業で。
予算内だと、10万キロはゆうに超える中古ばっかり。
程度を取るか?
カッコをとるか?
もちろんカッコでしょ??
で、たどり着いたのは。
JEEP CHEROKEE
あこがれの車。
人生初めての車。
11万キロ走っていたその車は
60万円。
予算は10万オーバー。
食事代を削って貯めた。
英語が話せないのに買えた。
必死でいろんな事を聞いた、
人生で一番大きな買い物やったし、
心底車に乗りたかったから、
必死で必要な言葉を覚えて。
値引きも少ししてもらった。
その日は興奮して寝れなかった。
うれしくてうれしくて、その日は車の荷台で寝た。
小さな町を意味もなく何周もした。
アメリカに来て初めて楽しいって思った瞬間かも知れない。
そして初めての春休み、この車で旅行に行くことを計画する。
それも一人でだ。
何処に行こうか?
どんなプランにしようか?
楽しい想像ばかり。
この広いアメリカを楽しんでやるって思っていた。
19歳の僕。
そしてこの旅行がとんでも無い事件になることを
その時は知る由もなかった。