United States of America vol.3
島流し to USA 続き
vol.3
8月21日
X dayである。
残り1カ月となった日本での生活。
連日連夜のお別れ会…
毎朝朝帰り。
アメリカタイムでの生活、時差ボケ防止や!
とか言いながら遊びほうける。
それもあと少しとなっていよいよカウントダウンや。
今振り返ると、有難い話しだ。
友達には恵まれていた僕だった。
学生時代の友達たちに暫しの別れを惜しんでの会。
毎回涙ナミダのお別れ会。
日に日にセンチになっていく…
出発まであと3日と迫ったある夜。
オトンに誘われて飲みに行くことになった。
もともとお互い話さないし
オトンを避けていた僕は島流しの話から一切口も聞いてなかった。
まぁ、
オトンとゆっくり話すなんて始めてのことやから、まぁいいかと。
これで当分話すこともないし。
なんか渋いバーに連れて行かれた。
ウイスキーを片手に、「これジャックダニエル。テネシーの酒やど!」とオトン。
「ふーん」と僕。
知らんし。行きたないし!!と思いながら。
長い沈黙の後オトンがポツリ・・・
「したことあんのか?」
僕「なにを?」
オトン「なんや、その、あれや、…SEXや」
僕「はっ?あるに決まってるやん!」
オトン「そか?!」
沈黙・・・
しばらくして、
オトンがおもむろにスーツの内ポケットから茶封筒を取り出し。バーカウンターに置く。
来た!キャッシュや。小遣いや。
そうか、なんかあったらこれを使え的なやつやな!
そりゃそうや、それぐらいあってもえ~はずや。
シメシメと思ってると。
オトン
「お願いがあるんや。差別やないからよう聞けよ、ワシはどうも自分の孫が黒人って言うのはイメージでけへんねん。だから、それだけは堪忍してくれ!」
とその茶封筒を僕にそっと出す。
その中味を覗くと札束ではなく。
なな、なんと。
うすうす
それも2箱。
ちょっと恥ずかしそうに…
ありえん
ありえん!
このオッサンありえん。
初めての親子の男飲みにもかかわらず、
あと3日で当分会えなくなる18歳の息子に、
英語が話せない僕にテネシー行きを命じときながら。
始めての海外一人生活の僕に
ハゲが二箇所もある僕に
自分の孫のイメージしてる。
そもそもアメリカにやるのはアンタの考えやし!!!
挙句、スキンて!それもうすうすって。
クレージーや。
頭がパニックになって、
一周して、
思わず僕「ありがとう」
って、なんのありがとうやねん!!
三度目の殺意を覚えた夜・・・
アメリカはテネシーへの出発まであと3日。